こんにちは、カスタマーサクセスの朝倉です。Qubena-Navi(キュビナビ)をご覧いただきありがとうございます。
今回は、保護者様の費用負担でQubenaをご利用いただいている戸田市立美谷本小学校へ、導入から校内推進にいたるまでの経緯を伺いました。その内容と、校長先生へのインタビューをご紹介します。
※美谷本小学校における授業でのQubena実践事例は下記からご覧いただけます。
小学5年生×国語「同じ読みの漢字に気を付けよう」
小学6年生×算数「円の面積・円の周りの長さ」
【導入経緯】
Qubenaを選んだきっかけ
戸田市では令和3年度、希望校に向けたQubenaの無償トライアルが実施されていました。
- QubenaのAI精度が、比較検討された他社ソフトより優れている
- 学習の個別最適化に有効であり、学力の低・中位層の伸びに効果的
トライアルの中で上記を実感いただき、保護者様負担での導入を本格的に検討開始されました。
校内調整
トライアルでQubenaを体験し、効果を実感できたICT担当の先生と、校内での活用方法を検討されました。教員と保護者それぞれが納得して活用することが一番大事と考え、丁寧に理解を深めていきました。
保護者の理解を得るために
まずCOMPASSの説明資料をもとに、使用した場合のメリット・デメリットについて、学年ごとに校内で検討されました。教材費として高いお金を支払うからには、教員も保護者もそれを超える学習効果を期待します。
- 授業への活用、それによる学力向上
- 他のドリルやテストを減らす経費削減
- ランドセルの中身の軽減
- 家庭学習への活用
など期待される効果を挙げ、それらを盛り込んで独自のプレゼン資料を作成されました。
その資料をもとに保護者の代表であるPTA本部の皆さんに説明を行い、使用した場合のメリット・デメリットについて十分理解いただいた上で、ご意見を募りました。
- 授業でも家庭学習でも生かせること
- 自分の能力に合わせて5教科でどんどん進められること
- 学習している内容が得点や得点率や取組率まで細かく数値やデータで見られること
などから、「ぜひともお金に関係なく子どものために使わせてあげたい」などの共感的なご意見が集まり、推進に向けて大きな力となったそうです。
そこで、活用する4年生以上のすべての保護者にご説明及びご納得いただくため、オンライン保護者懇談会においてQubenaの説明をされました。各担任が保護者に発信するためには、先生方自身も十分理解を深めなければなりません。上述の独自のプレゼンを使用してオンライン説明したことで、担任の負担軽減を図りつつ理解も深まり、懇談会における反対意見もなくスムーズに実施に至りました。
これらのことは、校長先生のリーダーシップのもと、並行して重層的に行われており、関係者全員の納得解を得るために、トライアルを十分活用されたことが功を奏しました。
従来の教材の見直し
導入にあたり、使っていた紙の教材、テスト等が子どもたちの学習に本当に必要か、学校全体一律で決めるのでなく、学年ごとに担当の先生方自身で検討を行いました。校長先生からは「”デジタルか紙か”ではなく、それぞれの特徴・良いところを認識して学年/教科ごとに柔軟に、必要なものを検討する」ようお声掛けされたそうです。
最終的に下記紙資料を削減し、保護者様のドリル等の負担額が前年度に比べ、2,000円~4,000円ほど下がる結果となりました。(Qubena利用料を除く)
- 算数:ペーパーテスト、計算ドリル
- 国語:漢字テスト
- 社会:資料集 など
継続的な見直し
戸田市は前期/後期の2期制となっています。一度廃止した紙ドリルなども、実際に授業を進めてみてやはり必要であると感じたり、逆にほかにもQubenaで代替できる紙教材が出てきたりするかもしれません。しっかり先生自身が振り返りを行い、PDCAサイクルを作るようにしているそうです。
【保護者様向け資料のご案内】
COMPASSでは上記のようなお話を伺い、Qubena導入にいたるまでのプロセスもできるだけサポートしていきたいと考え、保護者様向けの説明会資料のスライドフォーマットと配布用プリントを作成しました。
スライドはQubenaの概要・メリットをまとめ、料金に関するページ等を自由に加工できるパワーポイント資料となっています。是非ご利用ください。
【インタビュー】
校内での推進方法や日頃のQubena利用法について、美谷本小学校の藤川校長先生と、情報担当の大島先生に詳しいお話をお伺いしました。
ー Qubenaを日頃の授業で使われて、児童・先生に変化はありましたか?
(大島先生)
子どもたちは、タブレットを使えるということもあり楽しそうに取り組んでいます。出題される問題が児童によって変わるので「自分のペースで進められる」という実感もあるようです。指導する立場として、Qubenaマネージャーはよく見ています。具体的には「リアルタイム」で授業中に進捗を確認したり、「単元」タブで習熟度を確認したりすることが多いです。クラスごと、児童それぞれの進捗を把握できますし、良くできると思っていた子も意外にできていない問題や単元があることが分かることもあり、新たな気付きもありました。
「単元」タブの習熟度はエクセルでダウンロードして、成績反映にも利用しています。算数の知識・技能の観点において、習熟度A=3点、B=2点、C=1点、D=0点とし、単元ごとの平均をもとに成績に反映しました。成績反映における業務負荷が軽減された訳ではないですが、エクセルが使えればそこまで大変でもない作業でした。児童それぞれ、1つ1つの単元学習の経緯が確認できるので、子どもたちの学習を細かく確認する良い時間になりました。
ー Qubenaを日頃使われて、ご要望があれば教えてください
(大島先生)
- Qubenaの漢字問題は自己採点なので、教員側でもきちんと書けているか確認したいです。漢字問題は正誤関係なく、解答を一覧で見られると良いです。
- 作図ツールが使いづらいので、紙を使うことがあります。
- ワークブックの仕様上、完全なテストとして配信することができないです。お手付きを外したり、スキップ機能がつけられてテスト仕様になると助かります。
(COMPASS 朝倉)
貴重なご意見有難うございます。社内でも共有して今後の開発に活かしてまいります。
ー 校内でQubena活用を広げるにあたっては、普段どのようなことをされていますか?
(大島先生)
年度初めにCOMPASS社から実施された導入研修をもとに、使っての実感や気付いたことを教員間で少しずつ共有していきました。
QubenaでアップデートがあればQubenaマネージャーの[新着情報]に表示される内容を教員が確認します。大事なことは、研修などにより全職員で情報共有しています。
(藤川校長先生)
(校内での活用にあたって、大島先生に大変ではありませんでしたか?と問いかけたところ、「大変なことはありませんでした。」という答えでした。) 大島先生は前向きで一度乗り越えると忘れてしまっているかもしれませんが(笑)これまで長く続いた紙の学習スタイルからも大きく変わりますし、保護者から費用をいただくので対応すべき課題は沢山ありました。
ー Qubena導入の校内調整にあたりご苦労されたことと、そのハードルをどのように乗り越えたのかをお聞かせください。
(藤川校長先生)
何か新しいことを始めるときは、必ず風当たりがあります。新任の先生から50代のベテランまで幅広い世代が所属していることもありますので、みんながいきなり納得するのはもちろん不可能と考えました。それを理解した上で、大切なことを分かりやすく、根気強く伝えることを意識して納得解を得ていきました。
戸田市は教育長からICT活用やPBLの必要性がうまく発信されていて、教育委員会としてしっかり旗振りされているので、それを具体的な内容にかみ砕いて(学校状況にあわせて)教員へ展開していきました。
校内での検討と準備をしっかり整えていたので、それを説明した際の保護者からの反対は特にありませんでした。
ー 導入にあたって一番気を遣われたのはどんなところですか?
(藤川校長先生)
お金のかかることなので、経済的に困難なご家庭だったり、特別支援学級へのアプローチにはどのくらいメリットがあるのか伝え方に気を遣いました。十分検討を重ねて、保護者へもできる限り情報を出して納得感を得ていったところです。
ー 校長先生はどのようにリーダーシップを取られていったのですか?
(藤川校長先生)
リーダーシップとは強引なトップダウンで進めることではないです。まず情報を集めて、どこから手を付けるか考える。様々な世代・状況の教員へ伝えたいことを「伝わるように」ねばり強く伝えていくことが大事です。
学校運営の視点ではやること、動かしていくことが本当に沢山あります。そして1つずつでなく色々な要素を複合的に考える必要があります。Qubenaはあくまで、校内で利用している複数あるツールのうちの1つですが、教員の働き方改革や学力向上の取組の1つに組み込まれています。
もちろん間違った選択であれば難しいですが、子どもたち・先生方にとって何が良いのかとしっかり考えて進めてきたことであれば、あるときふと先生自身が「あれ、これ便利だね」と感じて一気に広がっていくタイミングがあったように思います。
ー保護者負担、学校採択で新しいツールの検討をされている学校へ向けて、ポイントを教えてください。
(藤川校長先生)
新しいことを始めるときは必ず風当たりがあるとお伝えしました。Qubenaの活用にあたっても、大きく①~③の段階を踏んできました。
①全体での目標・進め方を設定し、大切なことを発信していく
②実際に授業や家庭学習利用し、Qubena活用の試行錯誤をしていく
③校内で一気に広がっていく
最初の発信方法もとても気を遣いましたが、一番は②の段階で挫けないことが大切です。まず使ってみてどんな修正が必要か考えていくこと、そして教員自身で舵を取って進めているという、自分ゴト化していくことが大事かと思います。よくなっている子どもたちの姿が見えれば改善も厭わないはずです。成果を実感させることも管理職の大事な役割で、EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)を適切に見える化していくことが大切だと感じています。
本日大島先生とも話していて驚いたのは、うまく回り出すと最初の苦労も忘れてしまうんだなということです。みんなよくなりたいと思っているし、何より子どもたちの成長が嬉しいので、それを希望に諦めずに進めていければいいですね。
さいごに(COMPASSより)
今回美谷本小学校の先生方から、これまでの慣習を変えて新しいものを導入する際には一筋縄ではいかないという現実と、それを突破するための様々な工夫や、ハードルを乗り越えるまでのマインドセットを教えていただきました。
Qubena導入のご検討をいただいている学校様のヒントになれば幸いです。