こんにちは、AI型教材「Qubena(キュビナ)」のプロダクトオーナーをしている木川と申します。
私たちはこのQubenaによって生徒一人ひとりの習熟度に合わせて最適な問題を出題し、個別最適な学びを提供することで知識・技能の習得の効率化を支援しています。
嬉しいことに最近は「従来よりも短い時間で学習できるようになった」という喜びの声が全国から聞こえてくるようになりました。また、それによって空いた時間を使って、学んだ知識や技能を活用した探究的な学びをじっくりと行えるようになってきています。
その中でも東京都の世田谷区立深沢中学校では、2021年12月に深沢 享史 先生(主任教諭 数学科)を中心として、とても興味深い取り組みが行われました。それは、5教科(国数英理社)のカリキュラム・マネジメントを通して行う「SDGsをテーマとした教科横断の探究的な学び」です。Qubena小中5教科を活用して既存の授業を効率化し、各教科から1~2時間程度の時間を捻出することで合計8時間の教科横断的な学びが行われました。今回はそちらについて紹介いたします。
活動の目的
1)新たに生み出された時間で各教科での学習を実社会での問題発見・解決に生かしていくための教科横断的な学習を実現すること。
2)生徒が持続可能な開発目標(SDGs)に関する関心を高め知識を深めること。
3)実社会につながる課題の解決などを通じた学習で問題発見・解決能力や言語能力、情報活用能力などの能力を高めること
活動の内容
▶1,2時間目
環境マンガ家・本田亮さんをお招きし、SDGsに関する講演会を実施。
その後理解を深める活動として、各生徒は気になる目標と講演を聞いた感想をロイロノートに記入して提出。
▶3時間目
ダイヤモンドランキング(ロイロノートのシンキングツールの一つ)を使って、SDGsの17の目標を関心ある順に並べる。
作成後に他の生徒に見せて説明をし、感想や質問をもらう。(35分)
経済産業省運営のSTEAMライブラリ(https://www.steam-library.go.jp/)にアクセスし、関心のある目標でコンテンツを絞り込んで複数選ぶ(15分)
▶4時間目
STEAMライブラリ(https://www.steam-library.go.jp/)から選んだ興味のあるテーマの動画コンテンツを閲覧し、情報分析チャート(ロイロノートのシンキングツール)にまとめる。 終わったら他のものを閲覧し、再び情報分析チャートにまとめる。(50分)
▶5時間目
STEAMライブラリから国連や日本ユニセフ、外務省などのサイトまで閲覧範囲を広げて情報分析チャートをさらに作成する。(45分)
完成したら、企業で取り組まれていること、社会全体で取り組まれていることに分類して、Yチャート(ロイロノートのシンキングツールの一つ)に貼り付けて提出する。(5分)
▶6時間目
提出箱に提出された他の人のYチャートを見る(15分)
確認する中で気になったことを質問したり、同じテーマで調べた生徒同士で意見交換を行う(20分)
話し合って意見が変化したり、新しい発見はYチャートに反映させる(15分)
▶7時間目
冬休みに実践したい内容について行動宣言を準備する。(25分)
書いたものについて同じテーマの友達から意見をもらい、それを元に適宜修正する。最終決定したらロイロノートを使って提出する。(25分)
▶8時間目
冬休みに実践したことをグループに分かれ、1人ずつ発表する(30分)
グループ内での発表が終わったらグループの代表者を選び、各グループの代表者がそれぞれクラスに向けて発表する(20分)
活動を見学して
この活動はSDGsをテーマとした教科横断の探究的な学びを掲げ行われたもので、さらに21世紀型スキル※を身につけるための以下の4点が盛り込まれ、非常に有意義な活動となっていました。
※創造性やコミュニケーション能力、情報リテラシーなど働くためのツール活用術、次代を担う人材が身に付けるべきスキルのこと。
- 思考の方法
- ロイロノートのシンキングツールを使い、論理的思考、クリティカルシンキング(批判的思考)、メタ認知を促進して、活動を行う。
- 仕事の方法
- 他の生徒との意見交換をする時間があり、追加調査を行うことで資料を完成させる。
- 仕事のツール
- GIGA端末を駆使し、情報検索、整理分析、情報共有、意見交換などを効率的に実施。
- 社会生活
- プラスチックゴミ問題、バイオ燃料、気候変動、など世界的なイシューの中から各生徒が自由にテーマを選び、最終的に個人の責任として日々の活動に落とし込む。
また活動の中で使用されたSTEAMライブラリのコンテンツには、教科知識が様々な場面で活用されており、各生徒の中で授業で学んでいることと社会との繋がりが形成されるきっかけになったと思われます。
今回、深沢中学校で実践された探究的な学びを見学して、従来の授業を効率化することで、こうした時間を取れる意義は大きいと実感しました。この取り組みはトータルで8時間でしたが、さらに深い部分まで掘り下げていこうとするともっと時間が必要だと思います。これからもQubenaによって先生方の授業をサポートし、様々な教育活動を実践していくための時間を生み出していきたいと思います。