中学校 授業外

校内サポートルームで主体的に学ぶ力を身につける

CASE

はじめに:東大阪市立義務教育学校くすは縄手南校後期課程の校内サポートルームに登校する生徒に対する支援

 くすは縄手南校後期課程では、やむを得ず教室に入ることが難しい生徒のために、学校内の一教室にサポートルームを設置しています。ここに登校する生徒たちは、1日のスケジュールを自分で立て、基本的に自主学習を行っています。一斉授業方式ではないため、生徒が所属する学年の教員を中心に、多くの教員がこの教室を訪れ、生徒の学習をサポートしています。

 学習する際は「授業進度表」を見て教科書をもとに勉強したり、キュビナを活用したりするなど、自分のペースで学習をしています。「授業進度表」を使うようになって3年目ですが、学校独自で考えたものであり、生徒の使いやすさ・教員の負担軽減など、よりよいやり方を模索している最中です。

課題

  • プリントなど教材を個別に準備することや生徒に合わせた学習の提案が難しい。
  • 自主学習のため、生徒がサポートルームで何からどのように学べばよいか困ってしまう。

キュビナでの解決方法

  • 授業進度表で現在の学習内容を示すことにより、キュビナで学習する単元を選ぶ際の目安とできる。
  • 5分間復習を活用する。

効果

  • プリントなど教材を準備しなくても個別に学習を促すことができるようになった。
  • 「授業進度表」を見ることで学ぶべき範囲がわかりやすくなり、生徒が自主学習をしやすくなった。また、同じ学年の生徒とほぼ同じ進度で学習できるようになった。
  • 担任以外の教員でも学習計画が行いやすくなった。

実施の流れ

準備
・週に1回、授業進度表を作成する
・授業で活用したワークブックを配信する
学習中
・サポートルームで生徒の取り組みを見守る
・教科担当や担任以外の教員が学習内容を確認する
利用ツール
・キュビナ
・キュビナマネージャー
・授業進度表(Excel)

授業進度表とは

「授業進度表」は、校内サポートルームを利用する生徒や登校が難しい生徒が、教室の学習内容・進度を確認できるためのツールです。1週間ごとに、全教科の教員が授業の内容や優先して取り組んでほしい課題を記入します。

授業進度表は、Excel を利用してオンライン上で作成・共有されています。教員はデータを「編集可能」、生徒は「閲覧のみ」に設定しています。

 

校内サポートルームを利用する生徒は、この授業進度表を見て自主学習を進めます。

授業進度表の導入により、生徒は何を学習すべきかわかるようになり、学習の計画を立てやすくなったように感じています。

授業進度表の説明資料より抜粋

授業進度表に基づいた学習の進め方

授業進度表を見て、自分で学習内容を決めて学習を進める生徒がいる一方、自ら学び進めるためにはサポートが必要な生徒もいます。

教員は、授業の空き時間にサポートルームに顔を出し、担当学年の生徒を中心に、生徒それぞれの状況に合わせて、声かけや学習計画の相談などのサポートをします。

対応する教員が固定しないようになるべく学校全体で生徒一人ひとりに関わることができるようにしています。キュビナマネージャーの履歴は担任以外の教員も見られるので、把握するために有効活用しています。

取り組みの効果

キュビナを取り入れる前は紙ベースの問題が中心だったので、その都度の準備が必要でした。また、教科からどのような課題が出ているかわからず、生徒が何をすべきかわからない、教員が何を学習させたらいいか困惑することもありました。

 

キュビナが導入されてからはどの教師でも「キュビナやってみたら?」と学習を促しやすくなりました。また教科書に対応しているので学ぶべき範囲を見つけやすく、難しかった場合に過去の学年や範囲にさかのぼることも容易です。紙よりも取り組みやすいと感じている生徒もいます。自分に合った学習形態を選べることで前向きに取り組む生徒が増えた印象です。

校内サポートルームに利用する生徒に限らずですが、キュビナでテスト範囲を学んだ結果、テストでより点が取れるようになるといった一種の成功体験のようなものもあり、子どもたちの学習意欲の向上にもつながっています。

校長先生からの一言

教室に入ることが難しい時期をどのような枠組みで捉えるかということが大切だと思っています。「休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味」とともに「学業の遅れや進路選択上の不利益や社会的自立へのリスクの存在」に留意する必要があることは言うまでもありません。

「自分を見つめ直す時期における自分の将来と主体的につながる手段」としてキュビナを捉えたとき、その効果を高めるための方法について本校では試行錯誤しているにすぎません。「休養や見つめ直し」の価値が高まるように、その時期が決して無為とはならないように、「学校ができる負担感が少なくて持続可能な伴走」の質を高めていきたいと思っています。 くすは縄手南校 校長 川上 智之

 

取材ご協力ありがとうございました

東大阪市立義務教育学校くすは縄手南校後期課程の川上校長先生、藤井先生、インタビューにお答えいただきありがとうございました!

子どもたちの自ら学ぶ力を育てる素晴らしい実践をお聞きできました。